英国のタワーマンション火災に想う
英国ロンドンで6月14日、27階建てのタワーマンションで死傷者多数を出す火災がありましたが、テレビ画面から、一瞬、映画「タワーリング・インフェルノ」の一場面ではと間違えていました。日本でも高層建築が樹立する昨今、改めて「ここは大丈夫か」、「気をつけよう」と思われた方々も多かったはずです。原因究明には時間がかかるでしょうが、日本も、数々の火災を経験して、11階以上にはスプリンクラーの設置、建材やカーテン類は不燃性を義務付けるなど対策が強化されています。しかし、どこに落とし穴が待っているかも知れず、北朝鮮のミサイル同様に「今こそ正しく恐れてしっかり備えよう!」ということです。
思えば、1982(昭和57)年2月8日、千代田区の「ホテルニュージャパン火災」でも9階から出火し10階まで延焼し、死者33名、負傷者34名を出す火災がありましたが、利益優先主義から、スプリンクラーや防火扉などの消火設備の不備に加え、従業員への非常時の教育や訓練を行っていなかったことなどから、消防法が改正され安全対策が強化されました。
また、映画「タワーリング・インフェルノ」(1974年)は、直訳でそびえ立つ地獄と言われ、135階建ての超高層ビルの落成式の日に、低コスト優先の設備から電線が焦げ付きから大火事になり、スティーブ・マックイーン扮する消防隊長らが活躍するのですが、終りころ消防隊長は「いずれ高層ビル火災で一万人の死者が出るぞ!」と、高層ビルを造る人間の驕りを戒めていました。そして、映画の冒頭で「人命を救うために自分たちの命を犠牲にする全世界の消防士にこの映画を捧げる」とあった言葉とともに記憶に残っていることです。果たして、イギリスのみならず、この火災から人間は何を学ぶのでしょうか。
日本では昭和7年、日本橋の白木屋百貨店4階で起きた火災では、当時の女性は着物姿で、下着は着用しないのが普通で、ハシゴ車で避難する際、着物がめくれて片手で裾を押さえる動作から、地上に転落した女性が何人もいたことを教訓にして、以後、下着を付ける文化が広まったとされます。下世話に脱線しましたが、建築に携わる一人として、火災や震災、防犯対策など人命に関することは安易に妥協せずシッカリと押さえたいものです。
■高層化する建築物における防火安全対策:東京消防庁火災予防審議会答申
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/kk/pdf-data/21k-jt-all.pdf
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コメント
今回火災のあった英国のタワマン(もっとも英米で「マンション」というと「大邸宅」を意味するので、よく来日した留学生の部屋に不動産屋が「◯◯マンション◯号室」とか紹介したりすると驚かれるそうだが)は「築40年以上」との話であり、スプリンクラーなどが設置されていたか疑問視されているが、たとえ設置されていたとしてもいざという時作動するかの定期点検は必要であり(さすがに「テスト」はできないだろうが)、また住民の「避難訓練」も必要であり、特に煙の怖さは「煙体験ハウス」などで体験してみないとわからず、決して侮ることはできないところで、そろそろ関東大震災、東京大空襲と二度も大火災に遭いながらそれでも日本人が「木」で家を建てるのは、やはり木に人間の心を休める効果があり(決して旭化成さんにケンカを売っているわけではありません)、同時に木と共に人間も成長するものと信じられているからであり、昔は女の子が生まれると庭に桐の木を植え、お嫁に行く時にその桐でタンスを作って嫁入り道具として持たせるといった美談もあるが、今や木を植える庭すらない家が増えてしまったのは淋しい時代になったものだといったことにも言及頂きたいかと…。
投稿: | 2017年6月16日 (金) 13時00分